【理学部・工学部】2024年度入試最新動向 大くくり化が進む理工系 技術の進歩や環境の変化のスピードが速くなっている現代。そのスピードに柔軟に対応するために、組織改編=「改組」を実施する大学が増えています。特に活発に改組が行われている理工系の学部ついて、その内容や背景、また入試への影響がどうなるのかなど、山梨大を例にあげながら最新情報をご紹介します。

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どのような改組が行われているのか①学科のコース化

近年の理工系の改組の特徴は「大くくり化」と言えます。たとえば、山梨大を例にあげると、現行では7学科の体制ですが、2024年4月から7つの学科を「工学科」としてひとくくりに。1学科7コースという体制に改変されます(下図)。
※2023年2月時点での情報であり、今後変更の可能性があります。
一見すると学科がコースに変わっただけのように見えますが、学科とコースではその位置づけに大きな違いがあります。
大学設置基準には「収容定員は、学科又は課程を単位とし、学部ごとに学則で定めるものとする」と記載されています。学科単位では、文科省に届けられ正式に認可された明確な定員が存在するということです。
しかし、学科よりも下部の組織単位であるコースには細かい定員がありません。つまり、学科をコースに変えることで、新しい社会ニーズに対応した組織改編や入学後の学生の進路変更などに、より柔軟に対応できるようになります。
そして、この「柔軟性」こそが大くくり化の重要なキーワードなのです。

どのような改組が行われているのか②カリキュラムの変化

改組にともなって、カリキュラムも大きく変化することも特徴の1つです。
同じく、山梨大を例にあげると、現在は入学時から各学科に所属することになります。これが2024年4月から、1年次は5つのクラスで基礎を学び、2年次から7つのコースにわかれて専門を細分化して学ぶようになります。
また、2年次のコースは入学次のクラスである程度決まっていますが、条件を満たせば他のコース(転コース)も選択可能です。
さらに、山梨大では「総合工学クラス」があり、より柔軟な進路選択が可能です。このクラスに所属した生徒のみ、進級時にすべてのコースを選択できるのです。
入学後に分野を決定したい、学ぶ中で適性や進路を見極めたいという受験生に、柔軟に対応できる制度となっています。

改組の背景

これまでの大学は、専門性を重視した学科別の縦割りの体制がほとんどでした。
しかし、技術の進歩のスピードが速くなっている現代において、大学で学ぶ内容も柔軟に変更する必要性が高まっているため、分野間を柔軟に横断的に学ぶことができる体制が求められるようになりました。
大くくり化が最も多かったのは2018年と2019年。それ以降も数は減ったものの改組は続いています。
2016年以降に改組を実施した大学

入試への影響

入試についても変更はありますが、各大学の特徴によるため一概にこうなるとはいえません。山梨大の場合は、2023年度までは学科別の入試となり、第1志望、第2志望の2学科までしか選択できなかった制度が、2024年度からは学部一括の入試となり、7つのコースおよび総合工学クラスのなかから第1~第3志望までを選択することが可能になります。

出願時の注意点

最大数まで志望を書いて出願することで、合格可能性が高まりますが、出願の際は注意が必要です。
大学入学共通テスト後に、データネットなどの自己採点集計における志望者の集まりを見て第2志望以下を変更する受験生も少なくありません。同じことを考える受験生が多くて出願時に志望者が集まるケースもあります。
そのため、自己採点集計だけで選択するのはオススメできないですし、納得して進学できる志望であることが最優先です。
また、第2志望で合格したときのことを考えて、進級時のコース選択の方法、転コースの制度の有無、カリキュラムは必ず確認するようにしましょう。
理工系の最新入試動向まとめ
  • 理工系は大くくり化が進み、より柔軟なカリキュラム設定、進路選択が可能に
  • 第2志望、第3志望も出せる場合は、志望を優先しつつ、最大数まで書く
  • 入学後のコース選択などの制度やカリキュラムをよく確認すること

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10月以降、随時更新予定です。
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2023.09.25