文理融合・学際系はどんな生徒に向いている? 大学の組織改組に伴い、増加傾向にある文理融合・学際系の学部。「学環」と呼ばれることあるこの学系が近年、なぜ増えて生きているのか、また、どのような人に向いているのか、いくつかの大学を例に挙げてご紹介します。

この記事はYouTube動画の要点をまとめたものになります。

文理融合・学際系の学部が増加している背景

文理融合型・学際系の学びが増えている背景として、社会課題を解決するにあたり、複数の専門分野を組み合わせて解決をしていく必要性が高まってきていることが挙げられます。文系・理系のくくりにこだわらず、必要なものがあれば学んだり、その分野に詳しい人と協働したりする必要があり、そういった課題解決の手法を実践的に学べるような教育が求められています。また、2019年8月13日の大学設置基準の改正により、文理融合型・学際系の学部が設置可能となったことも増加の要因のひとつです。

文理融合・学際系の学部の特徴①課題解決×文系×理系

文系と理系の両方の分野を学べるだけではなく、「課題解決力を身につけるための実践的なカリキュラム」も組まれていることが大きな特徴です。
たとえば、2023年4月に和歌山大が新設した「社会インフォマティクス学環」では、融合前の学部の内容を分野横断的に学べるだけでなく、自治体や企業と連携したデータを用いた教育や、社会における課題解決のための実践的な教育を実施しています。これにより、企業が持つ顧客・購買・行動データを用いた演習や自治体の施策への提案を行うなどの実践的な演習が可能なカリキュラムになっています。

<これまでに新設された文理癒合・学際系の学部例>
2017年4月 新潟大学 創生学部
2018年4月 九州大学 共創学部
2019年8月 制度変更
2021年4月 岐阜大学 社会システム経営学環
2023年4月 和歌山大 社会インフォマティクス学環
     静岡大 グローバル共創科学部
     桐蔭横浜大 現代教養学環

文理融合・学際系の学部の特徴②教員の兼任が可能に

これまでの制度では、例えば、工学部と文学部の学びをかけ合わせた「文理融合学部」をつくろうとした場合に、学部間で教員の兼任ができず、工学部や文学部の専任教員から文理融合学部の専任教員を配置する必要がありました。制度改正によって「文理融合学環」のような「学部等連携課程」として新設することで、工学部、文学部の教員が「文理融合学環」と兼務することが可能となります。

どのような生徒に向いているのか

文系・理系にこだわらず、幅広くいろいろなことを学びたいという思いがあり、さらに実践的な課題解決力を身につけたい生徒におすすめです。文理融合・学際系の学部では、課題解決力を身につけるための実践的な演習と必要なものを幅広い学問領域から選択して学べるカリキュラムが組まれています。高校でも総合的な探究の時間を中心に探究的な学びが広がっていますが、探究のテーマを設定したらそのテーマの解決のために特定の教科だけではない様々なアプローチをとっているのではないでしょうか。そのような探究的な学びが好き、あっているという生徒にはそれをさらに発展、深化させることができる学部としておすすめです。
2023.11.02