赤ペン先生の実践から紐解く、生徒の学習意欲を高める声かけの極意

「どうせできないと言ってすぐに諦めてしまう」「なかなか主体的に学習が進まない」……。 日々、生徒の進路指導やクラス運営に向き合う高校の先生方の中で、このような生徒のモチベーション低下に頭を悩ませている方は少なくないかと思います。
生徒が自ら進んで学ぶ「自走力」を育み、学習意欲を高めるには、一体どのような関わり方が必要なのでしょうか。今回は、57年間で9,200万人もの子どもたちを励まし続けてきた進研ゼミ「赤ペン先生」の指導法をベースに、心理学的なアプローチを交えながら、生徒の学習意欲を高めるための「見取りと声かけの技術」を解説します。
目次
1. なぜ子どもの「学習意欲」は高まらないのか?
子どもの学力を向上させたい、目標を達成させたいと願うあまり、つい「テストの点数」や「合否」といった結果ばかりに目を向けてしまいがちです。しかし、子どもの成長には踏むべき明確なステップ(構造)があります。
【根(土台)】自己肯定感
すべての土台となるのが、「自分が好き」「このやり方でよかったんだ」「がんばればできるんだ」という自己肯定感です。ここが十分に育っていない状態では、いくら勉強を促してもなかなか定着しません。
【幹(原動力)】やる気・意欲・勇気
自己肯定感という土台があって初めて、「もっとやりたい!」「次はできるはずだ」という前向きな意欲や、一歩踏み出す勇気が湧き出てきます。
【花(成果)】学力向上・目標達成・自己実現
しっかりとした「根」と「幹」が育った結果として、ようやく学力向上や志望校合格といった「成果の花」が開きます。
意欲が低下している子どもに対して、花(成果)だけを求めても逆効果になりかねません。まずは土台である「根(自己肯定感)」を育てるために、周囲の大人から日頃の「見取り」を通じた「認める声かけ」を届けることが、学習意欲を高める最優先の課題となります。

2. 自ら学び始めるスイッチを入れる「自己決定理論」
赤ペン先生が長年の実践の中で培ってきた指導法は、心理学における「自己決定理論」の観点からもその正当性が説明が可能です。
人間が持つ以下の「3つの心理的欲求」が満たされると、義務感からではなく、自ら進んで学ぶ意欲(内発的動機づけ)が引き出され、結果として学習効果が高まると言われています。

高校生は進路選択の時期にあり、不安や孤独を感じやすいものです。だからこそ、先生が「間違えても大丈夫。先生は君が取り組んできたプロセスを見ているよ」という安心感(心理的安全性)を提供することが、新たな挑戦への土台になります。
3. 生徒の学習意欲を高める「ほめ方3原則」
では、日々の面談や授業、放課後の関わりの中で、具体的にどう生徒の心に届く言葉をかければよいのでしょうか。赤ペン先生が実践している「ほめの技術」を高校生の指導に応用する際、意識したいのが以下の「ほめ方3原則」です。
「結果」ではなく「過程」をほめる
点数だけでなく、努力や工夫の過程を具体的に言語化します。ほめるとは間違いを指摘しないことではなく、「できていること」と「できていないこと」を分けて伝えることです。間違いがあっても、できている部分を認め、次の一歩を後押しします。
「学びのていねいさ」をほめる
途中式やメモなど、思考の道筋を大切にする姿勢を評価します。細部の頑張りまで気づき、認めることでやる気が高まります。
「大人目線」ではなく「子ども目線」でほめる
他人と比較せず、「過去のその子」の成長に注目します。変化を具体的に伝えることで主体性を育みます。
【資料・動画のご案内】ケース別・生徒の変容を促す「具体的な声かけ例」
この「3原則」が大切なのは分かっていても、「いざ目の前の生徒を前にすると、どんな言葉で伝えればいいのか迷ってしまう」という先生方も多いのではないでしょうか。
特に学校現場では、生徒の状況に応じた丁寧な見取りとアプローチが求められます。

※この動画は、「先生に『ゆとり』、生徒に『自走』。~その指導負荷、もっと『仕組み』に頼りませんか?~」セミナーのプログラムの一部です。

