札幌新陽高等学校が挑戦する「指導の標準化」。多忙な現場でも、すべての先生が生徒の学習意欲を高める環境へ。

「学習意欲が低く、すぐに諦めてしまう……」 日々、生徒の進路指導やクラス運営に向き合う中で、このようなモチベーション低下に悩む先生は少なくないはずです。
しかし、多忙な現場で教員個人のスキルや熱量だけに頼ったアプローチを続けるのは限界があります。
大切なのは、先生の業務負荷を下げながら、誰もが同じクオリティで生徒を動機付けられる「仕組み」をいかに整えていくか。今回は、外部システムを導入し、教員の負担軽減と生徒の学習意欲向上を両立させる仕組みづくりへと一歩を踏み出した、札幌新陽高等学校(以下、札幌新陽高校)の実践とこれからの挑戦に迫ります。
目次
経験の多寡に左右されない、教員組織の「指導の標準化」という課題
高校の現場において、生徒の学力保障や進路指導は常に重要なテーマです。しかし、生徒一人ひとりに対する適切な「声かけ」や「見取り」の質が、教員の経験の多寡や異動によってばらついてしまうという課題を抱える学校は少なくありません。
札幌新陽高校が目指しているのは、個人のスキルや経験だけに頼るのではない、「どんな先生であっても、一貫して質の高い声かけや見取りができる環境」の構築です。
生徒の学力向上のために個別の学習コンテンツをただ追加する(=点のアプローチ)のではなく、学校全体として指導の仕組みを整える(=面のアプローチ)ことこそが、生徒の学習到達度への関心を着実に高め、進路の選択肢を広げるための解決策になると考え、組織のアップデートを進めています。

業務を効率化し、生徒一人ひとりと向き合う時間を生み出す「一元管理」の必要性
しかし、多忙を極める先生方が、日常業務の合間に手動で生徒一人ひとりの細かな変化をキャッチアップし、動機付けを行うのは容易ではありません。教員が事務作業に追われることなく、生徒の自発的な行動をタイムリーにサポートするためには、「生徒の状況が一元管理され、自動的に可視化される仕組み」の存在が不可欠でした。
情報が一元化されているからこそ、学年団での共通認識が生まれ、学年全体で一貫したきめ細やかな指導をスムーズに行えるようになります。そして、先生方が「いつも見てくれている」という安心感を生徒に与える、タイムリーな見取りと声かけが可能になると期待されています。
札幌新陽高校では、この「指導の標準化」と「教員の負担軽減」を両立し、学校改革を全面的に牽引していくシステムとして弊社の「グロースナビ」を導入。外部の仕組みを賢く取り入れながら、理想とする教育環境の具現化に向けて一歩ずつ歩みを進めています。
【実践】仕組みの導入によって見えてきた、生徒たちの変化と手応え
これまでの対面での指導に加え、デジタルを活用した客観的な見取りを組み合わせる中で、札幌新陽高校の現場には教員・生徒の双方に少しずつ確かな変化が生まれ始めています。
朝学習の定着がもたらしつつある、学びの「基礎体力」
以前は1人1台端末を毎日持参し、授業以外で活用することの定着に難しさがありました。しかし、「登校したらまず端末を開いて朝学習を始める」というシンプルな仕組みを校内でカチッと整えたことで、生徒の意識は自然と変わりつつあります。
今では、自主的に課題に取り組み、1ヶ月で何千問も解く生徒が現れるなど、前向きな雰囲気が生まれ始めています。ホームルームで「本校の取り組み数が全国上位に入っている」と客観的なデータ(事実)を伝えるだけで、生徒たちからも「コツコツやってきたことが形になった」と声が上がり、生徒たちが自発的に学習意欲を高める好循環の手応えを感じています。

システムが育む小さなきっかけを捉え、先生は「一人ひとりを見取る」ことに集中する
生徒が毎日ログインしたくなるような仕組み(学習を進めるとキャラクターが成長する仕掛けなど)をシステム側に委ねることで、先生が個別に働きかける労力は大幅に削減され始めています。
さらに、そうしたキャラクター施策にはあまり関心を示さない生徒に対しても、別の角度から仕組みが機能し始めています。取り組んだ「学習の数」そのものが画面上に可視化されるため、それを見た先生が「昨日も頑張っていたね」「今日増えたね」と一言認めたり、周囲から褒められたりすることが、新たな頑張りのモチベーションに繋がっています。先生はデータを通じて生徒の日常の頑張りを見落とさずにキャッチできるため、より確かな事実に基づいた、生徒に安心感を与えるタイムリーな声かけが可能になっています。
客観的なデータが、生徒の視野と思考を広げる面談へのきっかけに
1年生の進路活動で「社会に対して視野を広げる」取り組みを行う中、当初「経済学部」を志望していたある生徒の事例です。日々のニュースの閲覧履歴や興味関心のデータをシステム内に蓄積したところ、客観的な数値として出た結果は「文学と芸術」への関心の高さでした。
データという事実を見ることで、生徒自身が「自分には違う一面があるかもしれない」と自然に気づき、自ら新しい分野を調べ始めるなど、思い込みにとらわれずに視野と思考が広がるきっかけが生まれています。先生が主観だけでアドバイスするのではなく、システムが溜めてくれたデータを一緒に見ることで、教員の経験則に依存しない質の高い進路指導の形が見えつつあります。

次年度のコース制導入と、進路指導の本格的な標準化へ
札幌新陽高校では、次年度から新たにコース制を導入する予定です。それに伴い、1年生の「総合的な探究の時間」のガイダンスの中に、このデータ活用の仕組みをしっかりと位置づけていく方針です。
今後の最大の展望は、先生方の進路指導経験の多寡に左右されず、校内全体の指導水準を一定以上に標準化すること。「生徒が自分で考え、先生がそれを見守る」という本格的な進路指導の実現に向け、札幌新陽高校の「仕組み化」への挑戦はこれからも続いていきます。
【動画のご案内】推進の工夫やリアルな変化がわかるインタビュー動画

※この動画は、「先生に『ゆとり』、生徒に『自走』。~その指導負荷、もっと『仕組み』に頼りませんか?~」セミナーのプログラムの一部です。

